死は、誰でも必ず平等に訪れます。しかし、自分が死ぬことなんて実は全く想像できないものなのではないでしょうか。あの世に行って戻ってきた人がいないのだから、あの世は相当いいところらしい...なんて言っている場合ではありません。
実は、人の生活と死は隣り合わせです。私もいつ死ぬか分かりません。それは決して余命短い病魔に侵されているという意味ではなく、交通事故をはじめとした危険が世の中には実に多く氾濫しているからなのです。そこで思い浮かべて欲しいのは、あなたが亡くなった後に残される家族のこと。あなたは、あなたが死んだ後で生ずる争いから、あなたの愛する家族を守り切ることができますか?
...これらは全て誤った考え方です。どんなに小さな財産であっても、人はいずれ死を迎えるのと同様に、死亡時には必ず相続が発生します。そして夫婦だけだからと安心していた結果、残された妻が住む場所を失ってしまう現実だってあるのです。現実的なお金の問題になると、仲良し家族が骨肉の争いを演じるなんてこともしばしば見られます。
それは決してあなたの本意ではないでしょう。あなたがあなたの家族を大切に思うのであれば、今こそ家族のために立ち上がってください。
遺言の種類は、特別なものを除くと大きく分けて3つ。自筆証書遺言と公正証書遺言、そして最後に秘密証書遺言です。秘密証書遺言は殆ど使用されませんのでこちらでは省きます。
種類 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
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作成方法 | 遺言者が
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証人2人立会いのもと、公証役場にて公証人が遺言者の意思を文書にして作成する方法 |
印鑑 | 認印でも可 (実印+印鑑証明だと検認が早い) |
遺言者の実印(証人は認印でも可) |
遺言の保管 | 遺言者が保管 | 原本は公証役場で保管遺言者には正本と謄本(コピー)が交付される |
家庭裁判所の検認 | 必要 | 不要 |
特徴 | 遺言書の内容・存在を秘密にでき、作成も簡単 ただし、
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変造・紛失の心配が不要で、無効になる恐れもなく最も安全な方法 ただし、
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当事務所では、裁判所の検認が不要で速やかに遺産相続手続きが行える公正証書遺言をお勧めしていますが、なかなか一歩を踏み出せない方が多いようです。そこで、まずは自筆証書遺言にチャレンジしてください。
例えば、先ほどのように子供がいない夫婦の場合でも、故人の兄弟姉妹が健在であれば、残された妻とともに法定相続人となります。遺言書がない場合、兄弟姉妹に法定相続分を主張されたら、妻は応じるしかありません。疎遠で仲が悪い...なんて状況だと、ますますその可能性が高くなります。預貯金で法定相続分を支払えなければ、家を処分してでも兄弟姉妹に配分しなければならないという最悪の結果になるでしょう。
そこで、自筆証書遺言の出番です。紙は何でも結構ですから、とにかくタイトルに「遺言書」と書いて、「全財産を妻○○○子(生年月日)に相続させる」と続けます。その後に今日の日付とあなたの氏名、そして認印を押印してください。兄弟姉妹には遺留分がありませんので、たった5分でできる妻への「ラブレター」によって、残された妻が路頭に迷うことはなくなるのです。法律で定められた決まり事さえ守れば、自分で簡単に作成できるのが自筆証書遺言の利点です。
当事務所が行う公正証書遺言作成支援
自筆証書遺言の場合、形式的要件を満たしていなかったり、内容が曖昧なままだと、結局は争いの火種を生む可能性があります。家族を守りたいというせっかくの思いが無駄になってしまうのです。自筆証書遺言の内容が複雑になる場合は、一度だけでも専門家にチェックをお願いしてください。
ただ、自筆証書遺言には大きな欠点があります。その遺言が本物なのかどうか、効力自体が争いに発展することがあるのです。あなたが残された家族のためにも紛争回避の手段をしっかり講じておこうとお考えであれば、公正証書遺言をお勧めします。もし、次のような場合にあなたが当てはまる時は、迷っている場合ではありません。今すぐにでも公正証書遺言を作成されることを強くお勧めします。
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法定相続分と異なる配分をしたい場合
例)次女は結婚もせず親の面倒をよく見てくれたから、他の子供たちよりも多めに配分しよう -
相続人の人数・遺産の種類・数量が多い場合
例)長男には不動産を、次男には株券を、三男には預貯金をあげよう -
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合
例)兄弟姉妹には配分せずに、全部を妻に残そう -
農家や個人事業主の場合
例)事業に関する全ての財産は長男に相続させて、事業用資産の分散を防ごう -
相続人以外に財産を与えたい場合
例)内縁の妻や、介護してくれた子の配偶者(息子の妻など)に財産をあげたい
生前特にお世話になった人や団体へ寄付をしたい
その他にも、先妻と後妻にそれぞれ子供がいる場合や、配偶者以外との間に子がいる場合、相続人の中に行方不明者や浪費者がいる場合、相続人同士の仲が悪い場合などなど...。人間関係が複雑であればあるほど、遺言の効力をめぐって争いになる可能性が極めて低い、公正証書遺言を選択するのがベストです。
当事務所では遺言書で失敗することのないよう、遺産分割協議と同様に相続人確定のための複雑な調査を丁寧に行います。そして公正証書遺言の原案作成、証人の手配、公証人との打合せなど、全ての流れを一貫して対応します。また、遺言の執行についてもご希望に応じて受任することが可能です。あなたの意思と、あなたの家族の生活を守るため、責任を持ってサポートすることを約束します。